同期演奏がしたい!どんな機材が必要?
自分はドラマーなのでドラマーの慢性不足には何ら困らないのですが、どちらかというとキーボーディストが少なくて困ったりします。ピアニストはたくさんいてもキーボーディストは別物ですからね。もしくはDTMをやっている人は打ち込みは得意だけどリアルタイムの演奏は苦手、と言う人が多いかもしれません。ということで、最近のライブではドラムをシンセの打ち込み音に合わせてたたく(=シンセとの同期演奏)、という需要が多くなってきました。
しかしいざ同期演奏を始めようと思ってもあまり情報がなく、いろいろ調べたことをレビューっぽくメモしておきます。
アマチュアならばZOOM R8一択!
自分の演奏イメージとしては、まず、シンセの音はPC上でつくっておいて、それをライブハウスやスタジオのミキサーに出力することを考えます。そして、テンポを見失わないようにドラマーにはヘッドフォンでシンセ音+クリック音(=ドンカマ=メトロノーム)を出力します。ライブではドラマーである自分がシンセの音を開始し、クリック音に合わせてカウントを出してバンドの演奏を始めるのです。
このプランをパワーレックという楽器屋さんで話したら、「ZOOM R8」がおすすめですと言われました。え?R8?MTR(マルチトラックレコーダー)じゃん。マルチトラックレコーダーってドラムやベースやギター・歌を重ね録りしてミックスをして、楽曲を作るときに使うアレですよね。
でも、あとから考えるとこれ、まさにうってつけで、よく勉強していらっしゃる店員さんでした。
その理由は…
- PCなど外部で作ったwavファイルをインポートできる
- クリック音はヘッドフォンにだけ出すこともできる
- クリック音はプリセットの他、外部で作ったwavファイルを指定できる
- MTRにしては比較的小さくて軽い
- 専用機なので、PCを使ったときに起こるようなトラブル(フリーズなど)が起こりづらい
特に 3は上位機種にもついていない機能ですが自分の場合これがないと成立しない、重要な要素でした。
5の専用機というのも結構重要で、macでライブをしているときにフリーズして動かなくなる状況を客として何回か目の当たりにし、あの気まずい思いは出演者としては味わいたくないなあと思っていました。ライブのときに音をリアルタイムで変えるなど複雑なことをしない限りはPCやmac、あるいはタブレットでなくてもよいですしね。
クリック音としてwavファイルを指定できる
これ、お店で説明されたのですが、解釈としては2つ考えられます。どちらでしょう?
- wavファイルで作られた1音をのクリック1音として割り当てられる?
- 長いwavファイルを、クリック音の代わりに連続で流せる?
答えは2で、あるトラックにwavファイルをロードしておいて、クリック音(メトロノーム)としてそのトラックを指定すれば、クリックが鳴るべきところでそのトラックの音がそのまま鳴ってくれます。
通常のトラックとして使うのと、クリック音としてトラックを指定するのと何が違うのかというと、
クリックは出力先をマスターの出力、ヘッドフォンの出力別々に指定できるのです。練習の時にバンドメンバーにもクリック音を聞いてほしいときはマスターとヘッドフォンに出力、ライブの時はヘッドフォンだけに出力など。
トラック自体がクリック音として使えると何がよいのかというと、PC上で開始の合図などをあらかじめクリック音にミックスして作り込むことができます。この音が鳴ったら開始、など。プリセットのクリック音だとこうはできませんね。とても重宝しています。
つまり、PCではシンセ音・クリック音を作って別々のファイルとして出力し、各トラックにそれぞれインポートしてクリック音のトラックはメトロノームとして指定しておけばよいということになります。
ライブで使えるシーケンスモード
R8は他の多くのMTR機材と同じで、1曲ごとにプロジェクトというものを作り、その中に複数のトラックを作成していくという流れをとっています。これ、曲作りの時にはしっくりする流れなのですが、同期演奏をしたいだけなのに曲が変わる度にメニューからプロジェクトを選んで…というのをやるとライブのよい空気感をそこなってしまう場合があります。
そこで、R8にはシーケンスモードというものが存在し、ライブなどの進行に合わせてプロジェクトの順番を決めておくことができます。シーケンスモードで再生をするとあらかじめ指定していた通りに再生が連続的に行われます。止めたいときは停止を押せばよいし、次の曲にいくのも簡単です。ちょっと操作が特殊ですが慣れると便利です。
※シーケンスモードを使うには「マスタートラック(ミックス済みトラック)」をあらかじめ作っておく必要がありますので、お忘れなく!
実は一石四鳥
このR8、同期演奏の他、そもそもMTRなので前述した重ね録りにももちろん使えるのですが、ASIO対応のオーディオインターフェースとしてDTMでのギター録音などにも使えますし、さらにつまみ類はDTMのMIDIコントロールパネルとしても使えます。自分はこれらの用途では使ってませんが、いろいろ機材そろえたい人にはこれだけでそろってしまうというのも魅力だと思います。
注意点をひとつ。
ヘッドフォン出力とマスター出力、どちらにも出力レベルの調整つまみがついていますが、マスター出力をライブのときにうっかりいじってしまうとオオゴトになってしまいます。自分でどの位置に合わせているか覚えておき、演奏前に常に確認することがだいじです。
しかしZOOMはユーザー目線のよい製品をつくりますなー。値段も魅力
ZOOM R8(サウンドハウス) |